パソコンのデータはすべて記憶媒体に保存されていて、その記憶媒体には多くの場合でハードディスクが用いられています。その容量は一昔前と比べると非常に大きくなっているため、大量のデータを保存しておけるようになりました。とはいえ、ハードディスクも機械であるため、摩耗すれば故障もします。いつの間にか大切なデータが消えていた!という可能性もあるのです。
もしもデータが消えてしまった場合、データ復旧を行うことで失われたデータを取り戻すことができます。しかし、すべてのデータが取り戻せるわけではなく、場合によってはデータ復旧ができない可能性もあります。データ復旧の可能性を高めるには、どうすればいいのでしょうか。そのカギは、「何もしない」ことにありました。
「何もしない」ことが一番
ハードディスクの寿命や故障、パソコン本体の故障、データの誤消去など、データが消えてしまう要因はさまざまです。消えてしまったデータはデータ復旧を行うことで取り戻すこともできますが、100%の確率で復旧できるわけではありません。データ復旧できるかどうかは、その後の行動によっても変わるのです。
たとえばパソコンやハードディスクに異常が見られた場合、多くの人はパソコンの再起動を試みます。一度の再起動で復帰しなかった場合には、二度三度と繰り返し再起動を試みることもあるかもしれません。しかし、これは百害あって一利なしの行為。パソコンの再起動を繰り返すとハードディスクに大きな負荷をかけてしまうため、異常をきたしている部分はもちろん、別の正常な部分にまで悪影響を与えてしまいます。その結果データ復旧の確率も下がってしまうため、繰り返しの再起動をしてはいけないのです。
こうしたことから、ハードディスクのデータ復旧確率を上げるためには「何もしない」ことが重要となります。
なぜ「何もしない」ことが大切なのか
前述のとおり、ハードディスクに負荷をかけることから繰り返しの再起動はNG行為です。しかし、たとえば誤ってデータを消去してしまった場合でも、むやみな操作をせず、ネットワークを切断し、電源を切り、何もしないことが大切だとされています。それでは、ハードディスクに異常がない場合でも何もしないほうがいいのはなぜなのでしょうか。
この「何もしない」というのはハードディスクに負担をかけないというほかに、データの上書きを防止するという意味合いもあります。データを削除した場合、そのデータがあったスペースは空き部屋の状態になります。マンションで空き部屋が出たからといって部屋がひとつずつずれることがないように、データもスペースができたからといって新しいデータが移動してくることはありません。この状態で保存しておけば、その空き部屋からデータの痕跡を見つけてデータ復旧できる可能性が高くなります。しかし、新しいデータが保存されるとそのスペースに上書きされる可能性があります。こうなると、前のデータの痕跡をたどることも難しくなります。これを防ぐために、上書きのリスクがある操作を行わないようにすることが大切なのです。
復旧ソフトの使用も危険!
データ復旧を行う方法として、フリーソフトを使う方法もあります。しかし、データが消えてしまったパソコンやハードディスクが不調なパソコンでソフトの検索やダウンロード、インストールといった操作を行うと、それによってデータが上書きされてしまう可能性があります。
安全にデータ復旧を行いたい場合には、業者を利用するのが一番です。業者によって得意としている記憶媒体や料金体系、復旧にかかる時間などが異なるため、さまざまな業者を比較して選びましょう。