監視カメラ(防犯カメラ)は、建物や敷地内の防犯対策に活用できる便利な機器です。しかし、実際にどのような方法で映像データの記録や保存を行っているかについては、詳しく知らない方も多いかもしれません。
そこでこの記事では、監視カメラ設置による効果や映像データを保存する記録媒体の種類、監視カメラ用レコーダーの種類などをご紹介します。
1 監視カメラを設置する効果
2 監視カメラのデータ記録に使われる記録媒体
2-1 HDD
2-2 SSD
2-3 SDカード/microSDカード
2-4 クラウドストレージ
3 監視カメラの録画方法
3-1 データ圧縮による録画
3-2 ミラーリング録画
4 監視カメラの録画時間に関わる要素
4-1 記録媒体の容量
4-2 フレームレート
4-3 動体検知機能の有無
4-4 カメラの設置台数
5 監視カメラで使われるレコーダーの種類
5-1 デジタルビデオレコーダー(DVR)
5-2 ネットワークビデオレコーダー(NVR)
6 監視カメラを防犯に役立てよう
■監視カメラを設置する効果
監視カメラを設置しておけば、犯罪などが発生した際の証拠映像を撮影・記録できます。記録した映像データは、証拠として警察などに提出して役立てることも可能です。
また、犯罪者は監視カメラの設置場所を警戒して避ける傾向にあります。監視カメラを設置しておくだけで、犯罪行為やいたずらの抑止力としての効果も発揮するでしょう。
■監視カメラのデータ記録に使われる記録媒体
監視カメラで撮影した映像の録画にはカメラ本体以外に、記録媒体を備えた録画装置が必要です。ここでは、監視カメラで映像の録画に使われるデータ記録媒体の種類をご紹介します。
1.HDD
パソコンなどで使用されているHDDは、監視カメラの記録媒体としても広く普及しています。HDDは他の記録媒体と比較して容量あたりの単価が安く、長時間の録画が可能です。
ただし、大型で振動に弱いというデメリットがあるため、一般的にはレコーダーを併用するタイプの監視カメラで採用されます。
2.SSD
HDDに比べて衝撃や振動に強い、動作音が静か、消費電力が少ないといったメリットを持つ記録媒体がSSDです。屋外用カメラに内蔵する用途にも適しています。
ただし、容量あたりの単価はHDDと比較して高い傾向にあります。
3.SDカード/microSDカード
安価でコストパフォーマンスが高い、カード状の記録媒体です。サイズがコンパクトなのも特長で、カメラに直接挿し込んで使用するタイプであれば、レコーダーを併用しなくても映像を保存・確認できます。
ただし、静電気で容易に壊れる恐れがあるなど耐久性の面では劣り、データの長期保存には向きません。HDDやSSDに比べると容量も少ないため、使用する際は定期的な交換が必要になります。
4.クラウドストレージ
監視カメラで撮影したデータを、インターネット上にあるストレージに保存する形式です。レコーダーをカメラの近くに設置する必要がなく、ネット環境が整った場所ならどこからでも映像を確認できます。
デメリットとしては、サービスの利用にランニングコストが発生する、インターネットに接続されていないと録画できないといった点が挙げられます。
■監視カメラの録画方法
監視カメラで映像を録画する方法にも、さまざまな種類があります。ここでは、監視カメラでの録画方法の種類をご紹介します。
1.データ圧縮による録画
監視カメラで撮影した映像データは容量が大きいため、圧縮してデータサイズを小さくしながら録画するのが一般的です。映像データの圧縮方式の一例には、以下のものが挙げられます。
・Motion JPEG
JPEG画像(静止画)を連続で表示して、「パラパラ漫画」の原理で動画のように見せる仕組みです。編集が簡単な一方で圧縮率は低く、記録媒体の容量を多く消費してしまいます。
・MPEG-4
動画のフレーム(コマ)の差分(動く部分だけ)を保存する圧縮方式です。ハイビジョン映像以上の画質と高い圧縮率を両立できます。
・H.264
ワンセグ放送やBlu-ray映像ソフトなどでも採用されている動画圧縮形式です。それまでの規格よりもファイルサイズを小さく圧縮できます。
・H.265
H.264の改良版で、インターネット動画配信サービスなどで採用される方式です。H.264の2倍に迫る高い圧縮率を実現しています。
2.ミラーリング録画
HDDやSSDといった記録媒体は消耗品です。いつかは故障して、保存していたデータは消えてしまう恐れがあります。記録媒体の故障によるデータ消失を回避するための録画方式が「ミラーリング録画」です。
ミラーリング録画では2台のHDDに同じ映像を保存して、どちらか1台が故障してもデータを残せるようにしています。
ただし、ミラーリング録画をしている2台のHDDが、ほぼ同時に壊れる可能性も捨てきれません。ミラーリング録画さえしておけば、確実にデータを保存できるわけではない点には注意が必要です。
■監視カメラの録画時間に関わる要素
監視カメラは、基本的に24時間365日記録をし続ける機械です。監視カメラの録画時間を左右する要素も、あらかじめ知っておくと良いでしょう。
監視カメラの録画時間を決める要素としては、以下のものが挙げられます。
1.記録媒体の容量
監視カメラの録画可能時間は記録媒体の容量が大きいほど長くなるため、基本的には大容量の記録媒体を使用すれば録画時間も延ばせます。
データの画質などを落とさずに録画時間を延長したい場合は、記録媒体の増設がおすすめです。
2.フレームレート
フレームレートとは「1秒間に撮影される静止画の枚数」のことです。「FPS」という単位で表され、数値が大きいほど映像は滑らかになります。
一方で、フレームレートが低ければ映像表示はカクつきますが、データ容量は小さくなるため録画時間が延びます。
3.動体検知機能の有無
カメラが動くものを検知した時だけ録画を行う「動体検知機能」を備えている場合、その場に動きがない時間帯は録画が行われません。記録媒体の使用容量を効果的に節約して、録画時間を延ばすことができます。
動体検知機能を備えていれば、画面内で動きがあるシーンだけを見返すことも可能です。
4.カメラの設置台数
1つのレコーダーに接続するカメラの台数が多いほど録画データの量も増え、録画時間は短くなってしまいます。
ただし、カメラ本体にSDカードなどの記録媒体を直接挿し込んで利用できる場合は、カメラの設置台数で録画時間が変わることはありません。
■監視カメラで使われるレコーダーの種類
一般的な監視カメラでは、カメラ本体に別途レコーダーを接続してデータを保存しています。レコーダーの機能や設定状況によっては、保存容量が上限に達するとデータを上書きして新規録画が継続され、古いデータが順次消去されるため注意が必要です。
ここでは、監視カメラで使用されるレコーダーの種類と特長をご紹介します。
1.デジタルビデオレコーダー(DVR)
同軸ケーブルで、アナログ式の監視カメラに接続して使用するレコーダーです。アナログ撮影された監視カメラの映像をデジタルデータに変換するため、映像の品質が少し低くなる場合があります。
2.ネットワークビデオレコーダー(NVR)
監視カメラで撮影した映像を、LANケーブルや無線LAN接続によるネットワーク経由で保存するレコーダーです。遠隔地から録画映像を確認できるなど、利便性に優れています。DVRと比較してデータの劣化も少ないため、鮮明な映像の撮影・記録が可能です。
■監視カメラを防犯に役立てよう
監視カメラは、機種によって記録方式や使用するレコーダーが異なります。監視カメラの設置を計画する際は、設置場所の検討だけでなく、記録方式やレコーダーの違いも知っておくことが大切です。
また、レコーダーやカメラの故障によって、重要な映像データが消えてしまう場合も考えられます。万が一に備えて、データ復旧サービスの利用も検討しておくことをおすすめします。