データ復旧お役立ちコラム

RAIDとはどういう意味?
種類ごとの特長を知って使い分けよう

NAS/RAIDトラブル・基礎知識
更新:2023.09.20
RAIDとはどういう意味? <br>種類ごとの特長を知って使い分けよう

パソコンなどでは、データの記録にHDD(ハードディスク)を使用するケースが多いです。しかしHDDは、衝撃や経年劣化などさまざまな要因で故障する可能性があります。

何らかのトラブルが発生した場合、1台のHDDにデータを保存しているだけでは、データが取り出せなくなってしまいます。そのような事態を回避するためにおすすめなのが、「RAID(レイド)」の構築です。この記事では、RAIDの概要や種類など、RAIDに関する基礎知識をご紹介します。

目次– 読みたい項目からご覧いただけます。

RAIDの意味

RAIDとは、「Redundant Arrays of Inexpensive Disks」の略称で、複数のHDDを1つのドライブのように認識させる技術のことです。

複数のHDDを組み合わせてRAIDを構成しておけば、1台のHDDが故障した際のデータ復旧を簡単に行えます。また耐障害性能を高めることで、システムの信頼性向上にもつなげられます。

さらに、RAIDの組み方次第では、複数のHDDに分散してデータを書き込むことでデータ保存の処理を高速にできるなど、用途に合わせたストレージの構築が可能です。

RAIDの種類とそれぞれの特長

RAIDにはいくつかの種類があり、それぞれが異なった特長を持っています。ここでは、RAIDの中でも代表的なRAID0、RAID1、RAID5、RAID6の4種類、そしてそれらを組み合わせたRAID10の特長をご紹介します。

RAID0

ブロック単位で分割したデータを複数のディスクに分散させ、データの読み書き速度を高めているのがRAID0です。ストライピングとも呼ばれます。

データの読み書きは高速ですが、冗長性がないためHDDが1台でも故障するとデータを復旧できなくなるのがデメリットです。冗長性とは「万が一に備えて予備を用意してあり、安全性が高められている状態」を指します。

また、RAID0は使用するHDDの数が増えるため、物理的に故障するリスクも台数分大きくなってしまいます。安全性の向上目的で使うことはできません。

RAID1

ミラーリングとも呼ばれ、まったく同じデータを2台のHDDに書き込む方式がRAID1です。片方のHDDが故障した場合でも、すべてのデータを復旧できます。ただし、1つのデータを2台のHDDに書き込む性質上、容量あたりのコストが高くなるというデメリットもあります。

RAID5

RAID0と同様に複数のHDDへデータを分散しながら、HDD1台分の容量の「パリティ」と呼ばれる誤り訂正符号を付加して保存する方式です。

いずれか1台のHDDが故障しても、HDDを交換することで、それ以外のHDDのデータとパリティ情報から元データを完全に生成して復旧できます。

ただし、RAID5の利用には最低3台のHDDが必要で、2台以上のHDDが同時に壊れた場合はデータの復旧ができません。

また、パリティの演算が必要なので、CPUに負荷がかかる点もデメリットといえます。

RAID6

RAID5を拡張して、2台のHDDが同時に故障してもデータを復旧できるようにしたものがRAID6です。HDD2台分の容量のパリティを付加して、RAID5以上に信頼性を高めていますが、その分書き込み速度は遅くなります。また、RAID6を構築するには4台以上のHDDが必要です。

RAID10

RAID10はRAID1とRAID0を組み合わせた方式で、「RAID1+0」と呼ばれることもあります。まったく同一のデータを2台のHDDに保存しながら、データを分割して並列に書き込む点が特長です。高い冗長性と高速性を両立できますが、構築に4台以上のHDDが必要になる点はデメリットといえるでしょう。

RAIDを制御する方式

RAIDを制御する方式は、大きくソフトウェアRAIDとハードウェアRAIDの2種類に分けられています。ここでは、RAID制御の方式の違いやそれぞれの特長をご紹介します。

ソフトウェアRAID

OSやソフトによってRAIDの管理・制御を行う方式です。専用のコントローラーなどが必要なく、比較的安価で実現できます。

ソフトウェアRAIDではパソコンやサーバーのCPUが処理を行うため、機器のパフォーマンスが低下する可能性があります。

ハードウェアRAID

専用の機器を使用してRAIDの処理や管理を行う方式です。ソフトウェアRAIDと異なりCPUに負荷がかからず、OSの状態がRAIDに影響を与えることもありません。

ただし、専用の機器が必要なので、ソフトウェアRAIDよりも導入コストは高くなります。

RAIDをデータ管理に役立てよう

RAIDを構築することで、データの読み書きを高速にしたりデータ保存の安全性を高めたりできるなど、多くのメリットが生まれます。

RAIDは種類や制御方式によって特長が異なるため、データの保存や運用に関する目的に応じて構築方法を決定すると良いでしょう。

ただし、使用者の誤操作によってデータを削除してしまったり、ウイルスによってファイルが破損したりするリスクに関しては、RAIDでは回避できません。

RAIDと併せてデータのバックアップなども実施しながら、複数の方法でデータを保護することが重要です。

データのバックアップについては、以下の記事でもくわしくご説明しています。大切なデータを失わないために、RAIDだけでなくバックアップの取り方も押さえておきましょう。

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