SDカード/microSDカードは、デジカメやパソコン、スマホ、携帯ゲーム機など、幅広いデバイスで使われている記憶媒体です。スロットに差し込むだけで簡単に使えるため、写真や業務用ドキュメントの保存先として用意しておくと役立ちます。
しかし、SDカード内のデータが突然消えたり、破損したりしたことがある方もいらっしゃるでしょう。その際は、どのように対処すれば良いのでしょうか。この記事では、SDカードの障害の種類や、データ復旧時に注意したい点などをご紹介します。
1 SDカードからデータが消える原因
小型でデリケートなSDカードは、トラブルが起こりやすいメディアです。SDカードからデータが消えたり、データを読み込めなくなったりする原因は、物理障害と論理障害の2つに大きく分けられます。データ復元の際は、原因がどちらなのかを判別することが大切です。
ここでは、物理障害と論理障害について、それぞれの概要や症状をご紹介します。
1-1 物理障害
物理障害とは、SDカード本体の物理的な故障のことを指します。SDカードは薄くコンパクトな形状なので、折れたり、割れたりといった物理的な破損が起こりやすいです。
必要以上に何回も抜き差しした、脱着時に折れ曲がった、表裏を間違えて無理やり差し込んでしまった、上に座ったり踏んだりしたなどが、SDカードが破損する原因の例です。経年劣化や静電気、水没などが原因のケースも考えられます。
物理的に破損したSDカードは、機器に接続しても認識されない場合がほとんどです。
また、SDカードは金属端子がむき出しになっています。端子部分に少し傷が入ってしまうだけで、認識されなくなることがある点にも注意しましょう。
物理障害が原因でデータが消えてしまった場合、個人での対応は困難です。早急にデータ復旧の専門業者に相談することをおすすめします。
1-2 論理障害
論理障害とは、保存されているデータ自体に問題が起こる障害のことです。SDカード本体に目立った傷がないのに、データの読み書きができない、データが認識されないといった現象が発生します。
論理障害は、読み書きの最中にSDカードを抜いたり、誤ってデータを消去したり、SDカードをフォーマット(初期化)したりといった要因で発生するケースが多いです。特に、読み書きの途中でSDカードを抜いてしまうと、内部のデータが全て消えることもあります。SDカードは簡単に抜き差しを行えるため、やりがちな失敗のひとつです。
論理障害の場合、データが完全に消えているように見える状況でも、SDカード内にデータが残っている可能性があります。
2 SDカード内のデータを復元できる理由
SDカード内のデータを誤って消したり、フォーマットしたりすると、データはなくなったように見えます。ただし、削除したデータは本当に消えたのではなく、表示されなくなっただけです。実際には、SDカードの中に残っています。
そのため、データを誤って削除したとしても、新しいデータで上書きする前であれば、データを復元することが可能です。
3 SDカード内のデータの復元方法
SDカードに物理障害や論理障害が起こっても、大切なデータを再び読み込める可能性は残っています。SDカードのデータを復元したい場合は、データ復旧ソフトの利用や、データ復旧業者に相談するといった対処が必要です。
ここでは、データ復元の際の注意点についてそれぞれご紹介します。
3-1 データ復旧ソフトを利用する
明らかな誤操作の論理障害であれば、データ復旧ソフトを使って自力でデータを復元できます。SDカード本体に物理的な損傷がなく、SDカードが機器に認識される場合は、データ復旧ソフトを利用するのも手段のひとつです。データの復元にかかる時間が短く済み、有料ソフトを使用しても業者に依頼するよりコストがかかりません。
パソコンの操作が苦手な方は、スマートフォンにSDカードのデータ復元アプリをダウンロードして作業を行うこともできます。
ただし、ソフト/アプリによって精度はまちまちで、完全にデータを復元できない恐れがあるなど、デメリットもある点に注意が必要です。
3-2 専門業者に相談する
もっとも安全なデータ復元方法は、専門業者に相談することです。専門業者であれば、物理障害や論理障害といった原因を問わず、幅広いトラブルに対応できます。費用はかかるものの、自分で作業を行うよりデータを復元できる可能性は高いです。
SDカード内に大切なデータが保存されている場合は、自分でソフトを用いて復元を試みるのではなく、専門業者に相談することをおすすめします。依頼する際は、信頼できる業者かどうかを確認することも大切です。
3-3 別の機器で試してみるのも有効
パソコンやデジカメなど、機器側の問題でSDカード内のデータが読み込めない可能性も捨てきれません。パソコンを再起動したり、別の機器で読み込めるか試したりするのも良いでしょう。
別の機器でSDカード内のデータが読み取れる時は、機器側に問題があると考えられます。
4 SDカード故障時の注意点
SDカードの不具合を自力で改善しようとした結果、障害が悪化する恐れもあります。SDカードの取り扱いには細心の注意が必要です。SDカードが故障した際の注意点をご紹介します。
4-1 故障が疑われる際は何度も抜き差ししない
SDカードの故障が疑われる際に、何度も抜き差しを行うのは避けてください。原因不明のまま抜き差しや通電を繰り返すと、障害が悪化することも考えられます。
また、不具合の発生したSDカードをそのまま使い続けると、データが上書きされてしまい、古いデータの復元が困難になる恐れもあります。SDカードの故障や破損が疑われる時は、すぐに使用をやめることが重要です。
4-2 フォーマットは避ける
障害発生時は、SDカードのフォーマットにも注意が必要です。障害が発生しているSDカードを読み込んだ際に、「SDカードをフォーマットしますか?」などとエラーメッセージが出ることがあります。
しかし、画面上で確認できないだけで、データはSDカード内に残っている可能性は捨てきれません。機器によっては、SDカードのフォーマットを行うと完全フォーマットが実行され、内部データが完全に消えてしまうものもあります。
エラーメッセージが表示されてもキャンセルするなど、落ち着いて対応しましょう。
4-3 メーカー修理でデータは復元できない
故障したSDカードをメーカーに持ち込み、修理を依頼することも可能です。
ただし、修理によってSDカードは使えるようになりますが、保存していたデータは全て初期化されてしまいます。基本的に、SDカードの修理によって保存していたデータが復元することはありません。
大切なデータを取り戻したい方は、メーカー修理ではなく、データ復旧の専門業者に相談しましょう。
5 復元に自信がない場合は早めに専門業者に相談しよう
SDカードは気軽に扱える一方で、操作ミスなどで簡単に障害を起こしやすいメディアです。思い出の写真や業務用ドキュメントといった大切なデータを保存していて、できるだけ安全にデータを取り出したい場合は、早めに専門業者に相談すると良いでしょう。
ただし、データ復旧を行っている専門業者は数多くあります。評判などを調べ、信頼できる業者を見定めたうえで依頼することも重要です。