パソコンのストレージ(記録媒体)に保存してあるデータは、故障や誤操作などが原因で消えてしまうことがあります。また、コンピューターウイルスに感染した場合は、ウイルスにデータを破壊されることも考えられます。
ウイルス感染を防ぐには、ウイルスに関する知識を身につけることが重要です。今回は、コンピューターウイルスの概要や予防策、万が一感染した場合の対処法などをご説明します。セキュリティ対策の一環として、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
1 コンピューターウイルスの概要
2 代表的なマルウェアの種類
2-1 ランサムウェア
2-2 ワーム
2-3 トロイの木馬
3 ウイルスへの対策方法
3-1 OSやソフトのアップデートを行う
3-2 怪しいサイトやメールは開かない
3-3 ウイルス対策ソフトを活用する
3-4 無線LANの仕様に注意
3-5 バックアップを取っておくことも重要
4 ウイルスに感染した場合の対処法
4-1 ネットワークを切断する
4-2 ソフトでウイルスを駆除する
4-3 パソコンを初期化する
5 常に万全の対策を取ることが大切
コンピューターウイルスの概要
コンピューターウイルスとは、自らの機能でプログラムをコピーするなどして、他のシステムに伝染していくという特性を持つマルウェア(悪意あるソフトウェア)の一種です。インターネットからのデータダウンロードやメールの添付ファイル、リンク先のクリックやUSBメモリ経由など、ウイルスの感染経路は多岐に渡ります。
パソコンがウイルスに感染すると、さまざまな被害が発生する恐れがあるため注意が必要です。
具体的な被害の例としては、パソコンが動作不良を起こす、操作できなくなる、不審なプログラムをインストールされる、ファイルが勝手に削除される、個人情報を盗まれる、などが挙げられます。
代表的なマルウェアの種類
マルウェアには、コンピューターウイルス以外にも非常に多くの種類が存在し、それぞれ侵入経路や発生する被害が異なります。ここでは、代表的なマルウェアの種類とそれぞれの特長をご紹介します。
1. ランサムウェア
パソコンをロックしたりファイルの暗号化を行ったりして使えなくしてから、元に戻す代わりに金銭を要求するマルウェアです。名前はランサム(身代金)とソフトウェアを組み合わせた造語となっています。
ランサムウェアの多くは、メールの添付ファイルやサイト上のリンクなどをクリックすることでインストールされます。
2. ワーム
ワームは、宿主となる他のファイルがなくても単独で存在できるウイルスです。ウイルス自身がコピーを作って自己増殖することで、多くの機器に感染して被害を拡大させます。
3. トロイの木馬
正規のプログラムを装ってパソコンに侵入し、ユーザーが気付かないうちに攻撃を行う迷惑プログラムです。トロイの木馬という名前は、ギリシア神話のトロイア戦争で、巨大な木馬の中に兵士が隠れて奇襲を行ったという物語に由来します。
トロイの木馬は、ワームと異なり自己増殖を行わずに単体で動作を行います。個人情報の漏えいやパソコンの破壊など悪質な被害も多く、注意が必要です。
ウイルスへの対策方法
コンピューターウイルスの感染経路は、メールの添付ファイルやWebサイト、USBメモリなどさまざまです。ウイルス感染を防ぐには、日頃から対策を行っておく必要があります。ここでは、個人でできるウイルス対策をご紹介します。
1. OSやソフトのアップデートを行う
多くのウイルスは、プログラムの脆弱性(セキュリティホール)を見つけて侵入を試みます。OSやインストールしているソフトは定期的にアップデートを行い、最新バージョンにしておきましょう。多くの場合、発見された脆弱性はメーカーが更新プログラムを配布して対処しています。
ただし、サポートが終了しているOSやソフトはアップデートが行われません。脆弱性がそのまま放置されるため、セキュリティ上の不安が大きくなります。使用中のパソコンのOSやソフトが古くアップデートが行えないのであれば、買い替えの検討をおすすめします。
2. 怪しいサイトやメールは開かない
Webサイトやメールは代表的なウイルスの感染経路です。不審なサイトやメールは開かず、心当たりのない添付ファイルはクリックしないことを心がけましょう。
USBメモリやHDDなど、外付けストレージからのウイルス感染事例も見られるので、見覚えのない機器を不用意に接続するのも厳禁です。
また、特定のサイトを閲覧した際に「パソコンがウイルスに感染しています」といったメッセージが表示されることがありますが、偽の警告である可能性が高いです。リンクを開かずに無視して、サイトを閉じてください。
3. ウイルス対策ソフトを活用する
パソコンをウイルス感染から守るには、ウイルス対策ソフトの導入が必須です。ソフトをインストールしておけば、ウイルスに感染したファイルやメールを発見して削除したり、不審なサイトにアクセスしようとした際に警告を出したりしてくれます。
ただし、ウイルス対策ソフトならどれでも良いわけではありません。できるだけ高機能で、信頼できるものを選びましょう。また、最新のウイルスに対応できるよう、アップデートを行い常に最新バージョンにしておくことも重要です。
4. 無線LANの仕様に注意
無線を利用してインターネット接続を行う無線LANは、ケーブルを利用する有線接続よりも通信内容を第三者に見られる可能性が高いとされています。無線LANで接続する際は、安全性の高い方法で行うようにしましょう。
特に、端末のファイル共有機能が有効になっていると、ウイルスを送り込まれて大きな被害につながる恐れがあります。公共のアクセスポイントを利用する場合は、ファイル共有機能を解除しておくと安心です。
総務省では、自宅内に無線LANのアクセスポイントを設置する場合、WPA2方式またはWPA3方式での暗号化を推奨しています。※1
※1 出典:総務省『国民のためのサイバーセキュリティサイト』
5. バックアップを取っておくことも重要
対策を万全に行っていても、ウイルス感染を100%防ぐことはできません。万が一データが消えたり壊れたりした場合に備えて、バックアップを取っておくことも重要です。バックアップがあれば、パソコンが突然使えなくなっても大切なデータを残しておけます。
ウイルスに感染した場合の対処法
ウイルスに感染した場合に備えて、対処法を身につけておくことも大切です。ここでは、ウイルス感染時の対処方法を、手順ごとにご紹介します。
1. ネットワークを切断する
ウイルスに感染してしまったら、何よりも被害が広がることを防ぐ必要があります。感染が疑われるパソコンは、LANケーブルを抜いたりワイヤレス接続のスイッチを切ったりして、すぐにインターネット接続を切断してください。他のウイルスの侵入や個人情報の漏えい、他の機器へのウイルス拡散といった被害を防げます。
また、ネットワークから切り離された状態であっても、USBメモリなどで他のパソコンとデータをやり取りすることは厳禁です。
2. ソフトでウイルスを駆除する
インターネット接続を切ったら、ウイルス対策ソフトを使ってウイルスのチェックを行いましょう。各パソコンがネットワークでつながっていた場合、感染の可能性が疑われるパソコンすべてをチェックします。
ウイルススキャンでウイルスが見つかった場合は、ウイルス対策ソフトの指示にしたがって駆除を行いましょう。感染源にあたるメールやダウンロードファイルなども、完全に削除しておきます。
駆除作業が完了したら、再度ソフトでウイルスのチェックを行い、ウイルスが駆除されたことを確認してください。
3. パソコンを初期化する
ウイルス対策ソフトを使っても、感染したウイルスを駆除できないことも考えられます。もし駆除ができない場合は、パソコンの初期化(リカバリー)を行ってください。
ただし、パソコンを初期化すると、パソコン内部の保存データはすべて消去されてしまいます。初期化後は各ソフトウェアの再インストールが必要です。
また、重要なデータを保存している場合は、前述したように、あらかじめバックアップを取っておくと良いでしょう。
常に万全の対策を取ることが大切
パソコンやスマートフォン、タブレットなど、インターネットに接続可能なデバイスは例外なくウイルスに感染するリスクがあります。常に万全の対策を取ることが重要です。
ただし、高性能なウイルス対策ソフトを搭載し、セキュリティ意識を高く持っていたとしても、ウイルス感染を100%防ぐことはできません。大切なデータは事前にバックアップを取っておき、万が一に備えましょう。