パソコンのHDD(ハードディスク)には、ユーザー自身でたくさんのデータを保存しているはずです。しかし、パソコンを長期間使用している中でHDDの故障が起こり、データを読み書きできなくなった経験がある方もいらっしゃるでしょう。HDDの故障が疑われる場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか。
この記事では、HDDが故障した際の症状や原因、対処法などをご紹介します。
1 HDDが故障した際の症状
HDDの故障が疑われる際は、さまざまな症状が起こります。それらを注意深く確かめ、原因を突き止めて適切に対処しなければなりません。
ここでは、HDDが故障した際に起こりうる症状をご紹介します。
1-1 OSが起動しない
HDDの故障が原因で、パソコンのOSが起動しないことがあります。具体的には、パソコンを立ち上げても通常の起動画面が表示されず、エラーメッセージが出て先に進めなくなる症状です。
Windowsを例に挙げると「Operating System Not Found」などのエラーメッセージが表示されます。
また、起動中や操作中にフリーズしてそのまま進まない、頻繁にブルースクリーンが表示されるといった症状が発生することもあります。
1-2 異音や異臭がする
HDDの故障が原因で、異音や異臭が発生する場合もあります。カチカチやカタカタといったいつもと違う異音が聞こえる、焦げたような異臭がする、発煙しているなどの症状が一例です。
このケースでは、HDDやその他の部品の破損が疑われます。通電を続けると火災につながる恐れもあるため注意が必要です。
すぐにパソコンの電源を切り、煙が出ている場合は換気を行いましょう。
2 HDDが故障する原因とは
HDDが故障する原因はさまざまですが、「物理障害」と「論理障害」の2つに大きく分けられます。ここでは、HDDが故障した際に考えられる原因をご紹介します。
2-1 物理障害
物理障害とは、HDD自体が物理的に破損して正常に起動できなくなった状態のことです。具体的な要因としては、落下による衝撃や水没、落雷による過電流、経年劣化などが挙げられます。
HDDはとてもデリケートな機器のため、上記が原因で故障することは珍しくありません。
物理障害によるHDDの故障の場合、保存してあるデータは完全に失われておらず、プラッタという領域に残っている可能性があります。
物理障害が原因の故障では、HDDの修理やパーツ交換が必要なことが多いです。
2-2 論理障害
HDDそのものに問題はないものの、保存データやファイルシステムに不具合が生じて認識できない状態が論理障害です。操作ミスによるデータの誤消去やフォーマット(初期化)も、論理障害の一種です。
また、ウィルス感染によりデータが破損した場合も含まれます。
3 HDDの故障やエラーを確認するにはどうする?
パソコンには、HDDでシステムエラーや故障が発生しているか確認する機能が備わっています。WindowsとMacを例に、HDDが故障しているか確認する方法をご紹介します。
3-1 Windowsの場合
Windowsパソコンは、チェックディスク機能でHDDのシステムエラーや故障を確認できます。Windowsパソコンでチェックディスク機能を行う方法は、以下のとおりです。
- 「エクスプローラー」を開いたら「PC」を選択する
- 確認したいHDDを右クリックして「プロパティ」を選択する
- 「ツール」タブを開き、エラーチェック項目にある「チェック」を選択する
- エラーがある場合は、表示に従ってHDDの修復を行う
軽度の論理障害は、チェックディスク機能で修復できる可能性があります。
ただし、重度の論理障害や物理障害は、チェックディスクを実行したことが原因で状態が悪化する恐れもあるため注意が必要です。
3-2 Macの場合
Macにも、HDDのエラーや故障を診断する機能は搭載されています。使い方は、以下のとおりです。
- Finderから「ユーティリティ」を開く
- 「ディスクユーティリティ」を開いて、診断したいHDDを選択する
- 画面上の「First Aid」を選択し、エラーチェックを実行する
- 「詳細を表示」をクリックすると、エラーチェックの詳細を確認できる
この機能によってHDDのエラーを自動で修復できますが、Windowsパソコンと同じく、診断や修復できるのは軽度の論理障害に限られます。状態の悪化につながる恐れがあるため、使用するかどうかは慎重に検討してください。
4 HDDに障害が起きた際の注意点
パソコンの使い方によっては、HDDの故障が悪化することもあります。
HDDの故障が疑われる際は、以下のような行動を控えることが大切です。
・電源のオン/オフを繰り返す
電源を入れたり切ったりする操作は、HDDに大きな負荷がかかります。むやみに繰り返すと状況を悪化させてしまう恐れがあるため、注意が必要です。
また、故障したHDDに通電を続けると、保存しているデータが上書きされる可能性もあります。異常が見られる時は、パソコンの電源を切っておきましょう。
・修理を試みるためにHDDを分解する
一度でもユーザーが分解したHDDはメーカー保証が効かず、メーカーに修理を依頼しても作業を断られる可能性があります。故障の状態が悪化する恐れもあるため、無理に自力で対処しようとするのは避けてください。
5 HDDの故障が疑われる際の対処法
HDDに異常が発生した際に気になるのは、保存していたデータが無事かどうかという点でしょう。場合によってはデータを取り出せる可能性があるため、落ち着いて対処することが重要です。
ここでは、HDDの故障が疑われる際の対処法をご紹介します。
5-1 バックアップを取る
HDDの故障が疑われる場合、データにアクセスできるうちにバックアップを取っておくことが大切です。HDDから異音が聞こえたり、データの読み込みが遅くなったり、エラーが出たりしたら、すぐにバックアップを取ることをおすすめします。
また、HDDには寿命があり、いつか壊れてしまうものです。故障の有無に関わらず、日頃からデータのバックアップを取るようにしましょう。
5-2 データ復旧ソフトを使用する
パソコンがHDDを認識できていることが前提ですが、軽度の論理障害による不具合なら、データ復旧ソフトを利用して復旧できる可能性があります。
データ復旧ソフトにはフリー(無償)ソフトから有料版まで、さまざまなものがあるため、それらを活用するのも対処法のひとつです。
ただし、データ復旧ソフトの使用が、かえってHDDに負荷を与えることもあります。大事なデータを保存している場合は、専門業者に修理を依頼することをおすすめします。
5-3 HDDを交換・修理する
HDDを使える状態に戻したい時は、故障したHDDを交換したり、メーカーに修理を依頼したりするのも効果的です。故障しているHDDを交換・修理することで、パソコンを問題なく使えるようになります。
一方で、メーカーに修理を依頼した場合、ほとんどのケースで新しいHDDに交換されてしまいます。メーカー修理はあくまでも「HDDを使える状態にする」のが目的で、保存していたデータは消えてしまう可能性が高いです。
内部に重要なデータが入っていて、バックアップも残っていない時は、メーカー修理は避けた方が良いでしょう。
6 無理に復旧しようとはせず専門業者へ相談を
HDD自体が物理的に破損している場合や、大事なデータを保存している場合は、無理に自力で復旧を試みるのは避けるのが無難です。
パソコン初心者の方や内部の構造に詳しくない方は、技術力と知識を兼ね揃えた信頼できる専門業者に、早めに相談するようにしましょう。
7 HDDが故障した際は落ち着いて対処しよう
HDDの故障には物理障害や論理障害など、さまざまな原因が考えられます。症状を悪化させないためには、適切に対処することが重要です。
自力での対処が難しいと感じたら、できるだけ早めに専門業者へ相談しましょう。