ネットワークに接続されていて、複数のパソコンやスマートフォンなどからデータを読み書きできるのが、NAS(Network Attached Storage)の特長です。
複数台のHDDを組み込んでRAIDシステムを構成している製品も多く、大容量で冗長性にも優れています。
NASは便利に使える反面、故障すると多くの保存データに影響があるため注意が必要です。
この記事では、NASが故障する原因や故障時の主な症状、故障が疑われる際の対処方法などをご紹介します。
1 NASが故障や不具合を起こす原因
NASが故障する原因は、大きく4つに分けられます。ここでは、NASの主な故障原因と、それぞれの概要をご紹介します。
1-1 本体の破損
コネクタやマザーボードなど、NAS本体の部品が破損している状態です。 破損箇所によっては、NAS自体が起動できなくなることも考えられます。
本体の故障の場合は、破損した部品の交換や修理によって対処することが可能です。 交換や修理には専門的な知識と技術が必要なので、基本的には専門業者に対応してもらうことをおすすめします。
1-2 システムの不具合
OSやシステムの不具合、許容量を超えたアクセス数、ウイルス感染などが原因で、NASが故障することも考えられます。 アクセスの過剰負荷やウイルス感染が原因の場合は、いったんネットワークから切り離したり、ウイルスを駆除したうえでセキュリティを強化したりすることが重要です。
システムの不具合による故障は、データの消失や流出につながる可能性もあります。 大切なデータが保存されている場合は、バックアップを必ず取っておきましょう。
1-3 内蔵HDDの破損
内蔵HDDの破損が原因で、NASが故障している可能性も考えられます。
内蔵HDDの破損は物理障害とも呼ばれ、経年劣化によって起こることもあります。
特に、常時通電し続けることが多いNASは、経年劣化のリスクが高いため注意が必要です。
内蔵HDDの破損による被害を避けるには、定期的にバックアップを取ることが重要です。
バックアップを取ったうえで、故障に備えて3年程度を目安にHDDの交換も行い、その都度バックアップデータを活用して復元を行えば、データ消失に備えられます。
1-4 リビルドの失敗
リビルド(再構築)の失敗も、NASの不具合につながる原因になります。
リビルドとは、破損したHDDを新しいHDDに交換して、RAID構成を自動で元に戻す作業のことです。
HDDを入れる場所や順番を間違えてリビルドに失敗してしまうと、RAID構成が崩壊してデータが消える恐れがあります。
2 NASが故障している時に見られる症状の例
NASが故障した場合、どのような症状から判断できるのでしょうか。
ここでは、NASの故障時に見られる症状の例と、その際にやってはいけない行動をご紹介します。
2-1 ランプの点滅やエラー音
機種にもよりますが、NASはランプの点滅やブザー音でエラーを知らせる機能を搭載していたり、管理画面にエラーコードが表示されたりする場合が多いです。
ランプが点滅や点灯している場合、商品マニュアルに沿って解決できる場合もありますが、
HDDに重大な障害が発生した場合は個人での回復が難しいため、不安な時は自力で作業するのは避けましょう。
また、故障したHDDの入れ替えを行うとリビルドが実行され、データが初期化される恐れがあります。 バックアップを取っていないと大切なデータが消えてしまうため、安易に入れ替え作業を行うのは避けてください。
エラー音がしている場合は、HDDのシステムで異常が発生していることが考えられます。 通電し続けると状態が悪化する恐れがあるため、すぐに電源を切ることが大切です。
2-2 フォルダにアクセスできない
NASの故障によって、NAS内の共有フォルダにアクセスできなくなる可能性もあります。 フォルダにアクセスできない場合は、最初にNASがネットワークに接続されているかを確認しましょう。
ネットワークに接続されているにも関わらず、フォルダにアクセスできない場合は、NASに何らかの障害が発生している可能性があります。 すぐに使用を中止してください。
2-3 中から異音がする
NAS内部からカタカタという異音が聞こえたり、焦げたような臭いがしたりする場合は、HDDが物理障害を起こしている可能性があります。 使用を続けるとデータの読み書きができなくなる可能性があるため、すぐに使用を中止しましょう。 物理障害が発生したNASの復旧・修理を個人で行うのは困難です。物理障害が疑われる時は、専門業者に修理やデータ復旧を依頼することをおすすめします。
3 NASの故障は個人で対処できる?
NASが故障しても、内部に保存したデータを取り出せる可能性は残っています。
とはいえ、RAID構成のNASは独自のファイルシステムであることも多く、市販のデータ復旧ソフトでは対応できません。
自力で何とかしようと対処を試みた結果、データを復旧できなくなる恐れもあります。
また、ファームウェアのアップデートを行うのも避けましょう。
症状が改善する可能性はありますが、万が一アップデートに失敗すると、保存していたデータが破損したり、消えたりしてしまいます。
「データが消えると困る」「バックアップがない」といった時は、すぐに電源を切って事態の悪化を防ぎ、メーカーやデータ復旧業者に相談しましょう。
4 故障したNASは修理ではなくデータ復旧業者に依頼しよう
NASが故障した際に考えられる対処法は、「メーカーや購入店に問い合わせて修理してもらう」「データ復旧業者に相談する」の2つです。
ただし、メーカーの修理は障害が起きたNASを問題なく使える状態に戻すのが目的で、保存していたデータは保証されません。 HDDが新しいものに交換されたり、初期化されたりして、データが完全に失われる可能性があります。
確実にデータを取り出したい方は、データ復旧の専門業者に依頼するのがおすすめです。 故障や障害でNASのデータが読み取れなくなった時は、ロジテック データ復旧技術センターまでお問い合わせください。
5 故障に備えておくことが安全に使うポイント
NASは、パソコンや外付けHDDと異なり、目につきにくい場所に設置されることが多いです。 エラーの発生に気づかず、いつの間にか故障していたということもあり得ます。 大事なデータはNASだけに保存するのではなく、外付けストレージやクラウドなど、複数の場所にバックアップを取っておくことが重要です。
また、万が一NASの故障が疑われる際は、無理に個人で対処しようとすると、データが完全に消えてしまう恐れもあります。 大事なデータを保存しているなど、故障に際して不安がある場合は、専門業者に依頼しましょう。