ファイルサーバーや共有フォルダには、個人情報をはじめとする重要なデータが含まれていることも考えられます。それらが消えてしまった場合、大きな損失に発展する恐れもあります。誤操作や機器の故障などによってサーバー内のデータが消えてしまった場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか。
今回は、サーバー内のデータを復元する方法や、日頃から注意しておきたいポイントなどをご紹介します。
サーバーや共有フォルダからデータを消してしまうとどうなる?
設定にもよりますが、個人のパソコン内のストレージに保存されているデータは、誤って消してしまっても一度ごみ箱フォルダに格納されます。ごみ箱フォルダを空にする操作さえ行わなければ、すぐに復元することが可能です。
しかし、ファイルサーバーやNASなど、複数人で共有しているストレージのデータを削除した場合は、ごみ箱フォルダには入らずにそのまま消えてしまいます。データを復元する方法はありますが、100%復元できるとは限りません。
データが消えてしまった理由や、その後の行動次第では、復元できないこともあるため、サーバー内のデータの取り扱いには注意が必要です。
ファイルサーバーのデータを復元する方法
ファイルサーバー内のデータを誤って消してしまった場合も、復元できる可能性はあります。復元作業には管理者権限が必要なことが多いため、システムの管理者に相談してから復元作業を行いましょう。
誤消去してしまったサーバーのデータを復元する方法を、4つご紹介します。
ファイル履歴から復元する
Windowsパソコンを利用している場合は、ファイル履歴から削除したデータを復元できる可能性があります。
ただし、この方法は事前にファイル履歴の設定を有効にしていないと利用できません。
【ファイル履歴から復元する方法(Windows10の場合)】
- 「スタートボタン」をクリックし、「設定」→「更新とセキュリティ」→「バックアップ」の順にクリックする
- 「ファイル履歴を使用してバックアップ」項目の下にある「その他のオプション」を選択する
- 「関連設定」の項目から、「現在のバックアップからファイルを復元」をクリックする
- 復元したいフォルダやファイルを選択し、「復元ボタン」をクリックする
ファイル履歴の設定は、外付けストレージを接続した状態で「ファイル履歴を使用してバックアップ」→「その他のオプション」→「ドライブの追加」の順にクリックし、バックアップ先のドライブを指定することで行えます。
「ファイルのバックアップを自動的に実行」が「オフ」になっている場合は、クリックして「オン」に切り替えましょう。
システムの保護(シャドウコピー)から復元する
システムの保護機能が有効になっている場合は、以前のバージョンに戻すことで削除したデータを復元できる可能性があります。システムの保護機能の設定方法と復元する手順は、以下のとおりです。
【システムの保護の設定方法(Windows10の場合)】
- 「スタートボタン」を右クリックし、「システム」をクリックする
- 右側のメニューを下にスクロールして、「システムの保護」をクリックする
- 「システムのプロパティ」画面が表示されるので、「利用できるドライブ」から保護機能を有効にしたいドライブを選んで「構成」ボタンをクリックする
- 「システムの保護を有効にする」を選択して「OK」をクリックしたら完了
【システムの保護から復元する方法】
- 復元したいデータが入っていたフォルダを右クリックし、「以前のバージョンの復元」を選択する
- 「以前のバージョン」タブを開き、復元したい時点のファイルを選択する
- 復元したい日時のファイルを選択して、「復元」をクリックする
Macの場合の復元方法
Macの場合は、Time Machine機能によってデータの復元が可能です。復元作業には、HDDやUSBメモリといった外付けストレージが必要なので、事前に準備しておきましょう。
【Time Machine機能の設定方法】
- Macに外付けストレージを接続する
- 「システム環境設定」から「Time Machine」をクリックし、設定画面を開く
- 「バックアップディスクを選択」をクリックし、バックアップに使用する外付けストレージを選択したら完了
具体的な画面表示や文言は、macOSのバージョンによって異なる場合があります。
【Time Machine機能でデータを復元する方法】
- 画面の上側にあるTime Machineメニューをクリックする
- 「Time Machineに入る」をクリックする
- 復元したいファイルが保存されているフォルダを選択し、復元したい日時を指定する
- 復元したいファイルを選択したら、「復元」ボタンをクリックする
復元ソフトを利用する
バックアップがない場合は、専用のデータ復元ソフトを利用する方法もあります。
ただし、サーバーに対応している復元ソフトは限られており、ソフトが使えたとしても確実にデータを復元できるとは限りません。データを上書きしてしまうなど、状況が悪化することも考えられます。
ソフトを利用する方法はリスクが高いため、重要なデータを復元したい場合は避けることをおすすめします。
リスクを避けたい時は専門業者に依頼するのが確実
「共有フォルダの大切なデータを誤って消してしまった」「確実にデータを復元したい」といった場合は、専門業者に依頼する方法が確実です。
サーバーのトラブルを解決するには、専門知識や技術力が必要になります。個人で対応するよりも、専門業者に依頼した方が、適切にトラブルに対処してもらえるでしょう。
サーバーのデータ消去を防ぐにはどうする?
サーバー内に保管されたデータは、操作ミスや自然災害、機器の故障など、さまざまな理由で消えてしまう恐れがあります。データ消去による被害を最小限に抑えるためには、事前にバックアップを取っておくことが重要です。
万が一データが消えてしまっても、バックアップがあればスムーズに復元作業を行えます。
また、特に重要なフォルダにはアクセス制限を行い、操作ミスによるデータ消去のリスクを小さくすることも有効です。
こまめなデータバックアップがポイント
サーバー内のデータは、誤操作によって消えてしまうこともあり得ます。復元の可能性を上げるためには、こまめにバックアップを行うことが大切です。
サーバー内のデータが消えた際に、自力での対応を試みた結果、データが上書きされるなど、取り返しのつかない事態に陥ることも考えられます。
重要なデータを復元したい場合や、作業に不安を感じる場合は、専門業者に依頼するのがおすすめです。