地震や雷、豪雨、台風など、停電はさまざまな自然災害が原因で発生します。電力で稼働しているサーバー(NAS)は、停電後に認識しない、起動しないなどのトラブルに見舞われることもありますが、そのような際はどう対処すれば良いのでしょうか。
ここでは、停電後にサーバーが認識されなくなる原因やその対処法、事前に済ませておきたい対策方法をご紹介します。
1 停電後にサーバーが動かなくなるのはなぜ?
停電が発生すると、サーバーが認識されない、正常に動かないといったトラブルが発生することがあります。なぜ、停電が起こるとサーバーは故障してしまうのでしょうか。
停電後にサーバーが故障する原因としては、以下の事象が考えられます。
1-1 ショートによる基板損傷
停電から復旧して電気が流れた時に、過電流(電気回路に過剰な電流が流れること)が発生してショートすると、サーバー内部の基板が損傷することがあります。 その結果、サーバーが正常に認識されない、ファイルを開けないなどのトラブルにつながってしまいます。
1-2 内部ストレージの故障
サーバーの稼働中に停電が起きると、内蔵ストレージに過剰な負荷がかかって故障する可能性もあります。HDDのプラッタに磁気ヘッドが当たって傷がつく、磁気ヘッドが固着するなどが故障の一因です。
ストレージの物理的な故障が原因でサーバーが認識できない場合は、個人での対処は難しくなります。
1-3 ファイルシステムの破損や不具合
停電後は、ファイルシステムや制御システムの破損、RAID崩壊といったシステム周りに問題が起こることもあります。システムやRAID構成に問題が起きている時も、個人で対処するのは困難です。
自力で問題を解決しようとした結果、かえって状態が悪化することもあります。
2 停電後にサーバーに起こる不具合の例
停電が発生した後にサーバーに何らかの問題が起こった時は、以下のような症状が見られます。
・サーバーが起動しない
・ファイルまたはフォルダにアクセスできない
・保存していたデータが消えた
・エラー音や異音が聞こえる
・画面にエラー表示が出る
・アクセスランプが点滅している
上記のような異常が見られる時は、サーバー内のストレージが破損している恐れがあります。状態が悪化することもあるため、対処には注意が必要です。
また、サーバー本体に異常はないものの、ネットワーク接続に問題が発生していてサーバーにアクセスできない可能性もあります。
3 停電後サーバーが認識しない時の対処法
停電後、サーバーに異常が見られる時は、どのように対処すれば良いのでしょうか。
停電が原因でサーバーが認識しない時の対処法としては、以下の方法が考えられます。
3-1 自力で対処する
停電後にサーバーが認識しない時は、音やランプの点滅を確認しましょう。異音が聞こえる、ランプの点滅が普段とは異なるといった時は、すぐにサーバーの電源を切ってください。
サーバーの再起動を試してみるのも有効ですが、さらなる問題につながる可能性もあるため、基本的には一度試すだけにとどめましょう。
また、ファームウェアの損傷が原因で認識できない時は、ファームウェアのアップデートで改善する可能性もあります。
いずれの方法も確実性の高い対処法ではなく、データを取り出せなくなる恐れがあります。サーバー内に重要なデータが残されている時は、避けた方が良いでしょう。
3-2 データ復旧業者に依頼するのがおすすめ
認識されないサーバーからデータを取り出したい時は、データ復旧の専門業者に相談するのが確実です。前述のとおり、サーバーの再起動やファームウェアのアップデートは100%復旧できる方法ではありません。自力で何とかしようと作業を続けた結果、状態が悪化する恐れもあります。
サーバーの物理的な破損やファイルシステムの損傷が起こっていて、個人では対処できない場合もあるでしょう。
専門業者なら、個人では対応できない物理的な破損やファイルシステムの損傷などにも対処可能です。
データ復旧業者は数多くありますが、業者ごとに技術力は異なり、対応できる障害の程度にも差があります。トラブルが起こった時は、高い技術力を持つ専門業者に依頼するのがおすすめです。
4 サーバーの停電対策
停電によるサーバーの故障を防ぐには、日頃から対策を講じておくことが大切です。簡単にできる停電対策をご紹介するので、試してみてはいかがでしょうか。
4-1 UPSを導入する
停電対策の一環として、UPS(Uninterruptible Power Supply/無停電電源装置)を用意しておくと良いでしょう。UPSに内蔵されたバッテリーから電力を供給することで、停電発生中も少しの間サーバーを動かせます。通電している間に、安全にシャットダウンすることで故障を防げます。
ただし、UPSはあくまでも一時的に給電するための装置です。電源がついているからと、そのままサーバーを稼働し続けるのは避けてください。
また、タコ足配線でUPSに電力供給するなど、誤った方法で使うと機器の故障につながる点にも注意が必要です。
4-2 バックアップを取っておく
定期的なバックアップも、停電対策として有効です。バックアップを取っておけば、停電後のサーバー復旧作業をスムーズに進められます。
手動で行うだけでなく、自動でバックアップが取れるように設定しておくと、抜け・漏れを防ぐことが可能です。
バックアップを取る際は、データをコピーして3つ持つ、2種類以上の異なる媒体にバックアップする、1つのデータは遠隔地に置くという「3-2-1ルール」を徹底しましょう。
3-2-1ルールを遵守することで、データの安全性をより高められます。
4-3 電源ケーブルを抜いておく
地震や雷、台風といった自然災害による突発的な停電ではなく、あらかじめ定められた地域で計画停電が行われることもあります。
その場合は、事前にサーバーの電源を切り、電源ケーブルも抜いておきましょう。電源ケーブルを抜いておくことで、復旧後の過電流でサーバーにトラブルが起こるのを防げます。
また、停電復旧直後は電力が不安定になっている可能性があります。すぐに電源を入れ直すのではなく、電力が安定するまでしばらく時間を置くこともポイントです。
5 日頃から停電に備えることが大切
突然の停電によって、サーバーが認識できなくなったり、データが消えたりする恐れがあります。サーバー本体や保存しているデータを守るためには、UPSの使用や定期的なバックアップなどの対策を講じることが大切です。
ただし、対策していても、何らかの原因でサーバーが認識できなくなる恐れは捨てきれません。個人での対処はデータの消失につながる可能性があるため、問題が起きた時は専門のデータ復旧業者に相談することをおすすめします。