パソコンを使っていると、電源はつくものの動かない、「Operating System Not Found」というエラーメッセージが表示されるなど、OSが起動しないトラブルに見舞われることがあります。
パソコン内部で深刻なトラブルが発生している恐れがあるため、適切に対処することが大切です。
ここでは、パソコンのOSが起動しない時に、個人でできる対処法の例をご紹介します。
1 OSが起動しない時に個人でできる対処法
電源はつくがエラーメッセージが出て起動しない、パソコンのロゴマークから進まない、ブルースクリーンが表示されるなど、OSが起動しない時はどうすれば良いのでしょうか。
個人でも行える対処法の例としては、以下の方法が考えられます。
ただし、パソコンの状態によっては、対処法が原因でデータが消える恐れもあります。確実にデータを取り戻したい時は、作業は控えた方が良いでしょう。
1-1 スタートアップ修復を行う
スタートアップ修復とは、システムファイルの不足や破損などの問題を検知・修復する機能のことです。
OSの破損状況によっては、パソコンの強制終了と再起動を繰り返してスタートアップ修復を起動することで、不具合を解消できる可能性があります。
【スタートアップ修復を行う手順(Windows 10/11)】
1.パソコンの強制終了と起動を何度か繰り返し、「自動修復」画面を表示する
2.メニュー右下にある「詳細オプション」ボタンを選択する
3.「オプションの選択」画面が表示されるので、「トラブルシューティング」⇒「詳細オプション」⇒「スタートアップ修復」の順にクリックし、スタートアップ修復が完了するのを待つ
スタートアップ修復は、長い時間がかかることもあります。ノートパソコンは途中で電源が切れないように、ACアダプターを接続しておくことが大切です。
また、HDDやSSDの故障が原因でOSが起動しない場合は、機器の強制終了と再起動を繰り返すことによって状態が悪化する恐れがあります。
重要なデータを保存している時は、作業を控えてください。
1-2 セーフモードで起動してみる
セーフモードと呼ばれる機能を試してみるのも有効です。
【セーフモードの立ち上げ方(Windows 10/11)】
1.パソコンの強制終了と起動を何度か繰り返し、「自動修復」画面を表示する
2.「詳細オプション」⇒「トラブルシューティング」⇒「詳細オプション」⇒「スタートアップ設定」⇒「再起動」の順にクリックする
3.再起動後、スタートアップ設定画面が表示されるので、「セーフモードを有効にする」を選択するとセーフモードで起動する
セーフモードで起動できたら、すぐにデータのバックアップを取っておきましょう。
その後、ウイルスチェックやアプリの削除、ドライバの削除、更新プログラムのアンインストール、スタートアップ設定の削除、ディスクチェック、ディスクの初期化などを行うことで、状態が改善する可能性があります。
この方法も、保存していたデータが消える危険性がある点に注意が必要です。セーフモードでもOSが起動しない時は、パソコンに致命的な障害が発生していると考えられます。
1-3 システムの復元を行う
OSが正常に起動しない時は、復元ポイントを使って「システムの復元」を行うことで、問題が解決する可能性もあります。
事前に復元ポイントを作成している方は、システムの復元を実行してみるのも有効です。
【システムの復元を行う手順(Windows 10/11)】
1.パソコンの強制終了と起動を何度か繰り返すと「自動修復」が表示されるので「詳細オプション」をクリックする
2.「オプションの選択」画面で「トラブルシューティング」⇒「詳細オプション」⇒「システムの復元」の順にクリックする
3.アカウント選択画面が表示された場合は、該当するアカウントをクリックしてパスワードを入力し、「続行」をクリックする
4.「システムファイルと設定の復元」画面が表示されるので「次へ」ボタンをクリックする
5.表示された一覧から復元ポイントを選び、「影響を受けるプログラムの検出」をクリックする
6.表示される画面の内容を確認する。問題がなければ「閉じる」⇒「次へ」の順にクリックし、画面の指示に従い操作を続ける
1-4 BIOSの設定を変更する
パソコンは、BIOS(UEFI)と呼ばれるプログラムによって、マザーボード上の部品やキーボードなど周辺機器の制御を行っています。ストレージにインストールされたOSも、BIOS(UEFI)によって呼び出されることで起動しているのです。
そのため、BIOSに何らかの問題が発生し、OSが入っていないストレージからパソコンを起動するように設定が変更された結果、パソコンが起動しなくなるケースもあります。
外付けストレージをパソコンに接続している場合は、一度全てを取り外してからパソコンを再起動してみましょう。
内蔵ストレージを複数搭載している時は、BIOS(UEFI)の設定画面でストレージの起動順を変更してみるのも有効です。
BIOS(UEFI)の画面の呼び出し方や設定方法は、パソコンによって異なります。作業前に、使用しているパソコンの取扱説明書や、メーカーのサポートページを参照してください。
また、BIOS(UEFI)の設定を変更したことが原因で、ハードウェアの破損のような深刻なトラブルにつながる恐れも捨てきれません。
自信のない方は、BIOS(UEFI)に触れるのは控えた方が良いでしょう。
2 パソコンが起動しない時は専門業者に相談を
上記の方法で対処できない場合は、ストレージが故障している可能性があります。個人で対処するのは難しいため、専門業者に相談するのがおすすめです。
ただし、相談する業者は、パソコン本体とデータのどちらを最優先したいかによって異なります。
2-1 データが要らない時
保存しているデータが不要な時や、パソコンの起動を最優先したい時は、メーカーの修理や交換サービス、パソコン修理の専門業者に依頼するのがおすすめです。
パソコンの保証期間内であれば、メーカーの無償修理サービスを受けられる可能性もあります。
メーカーや業者の「修理」は、パソコンを問題なく起動できる状態に戻すことが目的で、保存していたデータは考慮されていません。
修理に成功して、パソコンが問題なく起動するようになったとしても、基本的に保存していたデータは消えてしまいます。
2-2 データを取り戻したい時
保存していたデータが必要な時は、データ復旧の専門業者に依頼しましょう。
データ復旧業者の作業の目的は、パソコン本体の修理ではなく、データを取り出すことです。
個人では対応が難しい障害が起きているパソコンからでも、高い確率でデータを取り出すことができます。
ただし、専門業者ごとに技術力や対応できる障害の程度はさまざまです。場合によっては、データを取り出せないだけでなく、データ復旧の難易度が上がってしまうことも考えられます。高い技術力や経験を備えた、信頼できる専門業者に依頼すると安心です。