データ復旧サービス導入事例

関東リオン株式会社

関東リオン株式会社 営業部付 田原伸弥氏にロジテックのデータ復旧サービスを活用した理由と経緯について詳しく聞きました。

見積金額の技術的根拠にこだわりながら、各社に問合わせを続けました。ロジテックの回答額は、最初の会社の3分の1でした

関東リオン株式会社
関東リオン株式会社について

補聴器メーカー大手 リオンのグループ会社として、関東地方でのリオンの補聴器の販売と保守を行う。修理技術者である、田原氏は、年間3000個以上の補聴器を修理している。

EM(エマージェンシーモード)になり、RAIDがアクセス不能に

今回、ロジテックにデータ復旧を依頼した経緯をお聞かせください。

弊社では、各種業務情報を、RAID(250GB 4本構成)のNASに格納していました。弊社には情報システム部はなく、情報機器の管理は、「できる人がやる」という体制で管理していました。そのNASは、5年前、2006年に前任の担当者が購入、設置したものですが、その担当者が退職したため、内勤の修理技術者である私が、後任の管理者となりました。

ところが2011年の春先から、4本あるディスクのうち2本目に、「DISK ERROR」という表示が出始めました。購入して5年目で経年劣化となったのでしょうか、この時点で「少し危ないかも」とも思いましたが、まずは何とか動き続けているし、RAID構成だし、レプリケーションも設定しているし、しばらくは大丈夫だろうと思いこんでしまいました(ところがこのレプリケーションは実際には設定ミスで機能していなかったことが後になって分かったのですが…)。

その後、夏から秋にかけては、補聴器の修理のピークの時期だったので、本業である修理に集中し、ディスクの管理は後回しにしていたのですが、11月に入ると、ディスクがいよいよ頻繁にシャットダウンするようになってきました。電源を入れ直して、再起動しても、二時間もすればまたシャットダウンします。エラー表示を見ると、ディスク2の他にディスク4も危なくなっています。

これは緊急事態だと思い、慌ててバックアップを開始しましたが、しかしファイルコピーを始めたその矢先に、またブツリ、とシャットダウンしてしまいます。バックアップそのものができません。「ERROR 13」、「ERROR 14」が表示され、マニュアルで調べたところ、「対処方法:ディスクの再起動」と書いてあったので、何度か、再起動してみましたが、事態は改善しません。それどころか、最後には「ERROR 23(ファームウエア破損)」が出てきて、ディスクはご臨終、完全にアクセスできない状態になってしまいました。

メーカーに問いあわせたが、しかし…

ディスク破損を確認した後、どんな行動をとりましたか。

まずはメーカーに問い合わせました。「まずは破損したディスクを送ってほしい」との回答でした。そのRAIDは、そもそもが、「万が一、ディスクに障害が起きても、データは消されずに、復旧を可能にするような仕様になっている」という謳い文句だったので、期待して、ハードディスクを送付したのですが、しかし四日後に、「復旧はできませんでした。初期化するしかありません」という趣旨の回答があり、落胆しました。

そのメーカーは、「データ復旧会社を紹介します」ということで、三社を教えてくれましたが、結局、紹介先には電話はかけずに、自分でネット検索して探すことにしました。

「データ復旧」などのキーワードで検索すると、いくつもの会社が表示されます。とりあえず上位表示の三社に問い合わせをしてみました。しかし、どの会社も今ひとつ決めかねる状況でした。

その電話対応は、修理技術者の視点から見ると少し…

「どの会社も決めかねる状況でした」とは具体的には?

見積の根拠が不明確だったこと、これが決めかねる状況だった理由です。

どの会社も、こちらの障害の状況把握をしようとせず、「とりあえずディスクを送って下さい。見積はそれから」という回答に受け止めにくさを感じました。

私の職業は、補聴器メーカーの修理担当です。「壊れた物を直す」という意味では、データ復旧サービスのみなさんと同じ業界にいるといえます。個人的には、お客様から修理のご相談があった時には、まず、そのお客様の状況を正確、丁寧にヒアリングすることを心がけています。お客様の状況を正確に理解することなしに、お客様本位の修理はできないと考えているからです。その基準で考えた場合、各社の電話対応は良いものとはいえませんでした。

まず、「とにかくディスクを送ってください」という対応は、心情的にも受け入れにくいものがあります。ディスクを壊してしまった、データが消えてしまったという立場のこちらとしては、心の中に、何となく「負い目」「引け目」があるのですが、そこに来て、「とにかく送れ。見積はそれから」という対応は、何となく、「足下を見られている」ような気がしてしまうのです。もちろん、相手に悪意はないのでしょうが、頭で分かっていても、心情的には割り切れないのです。

ディスク本体を調べないと見積ができないというのは、理屈上はそうかもしれませんが、せめて状況をヒアリングした上で、それに基づく、見積の「目安」ぐらいは教えてほしい、そう思って、概算見積を求めたのですが、それに対しては、各社から「60万円」「90万円」などの回答があり受け止めにくさを感じました。

その見積の根拠が知りたかったのです

「見積回答に受け止めにくさを感じた」とは具体的には?

高い安いはさておき、ただ数字だけ提示されても、受けいれにくいというか。上手く言えないのですが、私もメーカーの修理担当なので、修理する側が考えていることというのは、電話のちょっとした受け答えや回答のタイミングからも、何となく察しがつくのです。特に60万円という見積などは、「RAIDでディスク4本だから、15万円かける4で、エイヤで60万円と言っているのかも」などうがった見方をしてしまいます。

結局、どの会社にも破損ディスクを送ることなく、上司に「三社に問いあわせましたが、60万円~90万円という見積でした」と伝えたところ、上司からは「エッ、60万円!? うーん、高いな。もうちょっと調べてみてくれないか」との反応。困った、どうしたものかと、行き詰まってしまいました。

そんな時、社内の、コンピュータ業界に詳しい同僚から、「データ復旧ならロジテックもやっていますよ」と聞きました。「ロジテックのデータ復旧サービス」というその一言だけで、私には好印象があり、ここなら良いかもしれないと思えました。

設備、技術力、プライドに期待しました

どこに好印象を感じていただけたのでしょうか。

まずロジテックといえば、ハードディスクの「メーカー」です。メーカーであるからには、技術者、ノウハウ、設備が良く備わっていると期待できます。もちろん、他のデータ復旧会社にも、設備や技術者は揃っているでしょうが、やはり、修理会社の持つ「修理のためだけの設備」よりも、メーカーが保有する「作るため & 復旧するための設備」の方が、より充実しているはずです。また、メーカーの技術者であれば、困難な復旧でも、意地とプライドにかけてやり遂げるだろうという期待もありました(このあたりは、「リオンというメーカーに勤務する修理技術者」としてのカンです)。とにかくロジテックに電話をかけてみました。 すると、期待通り、非常に良い対応だったのです。

他社の3分の1の見積が提示されました!

どのような対応だったのでしょうか。

まず、これまでの三社と違い、オペレータではなく、技術者が電話に出てくれました。その技術者の方は、ディスクが壊れた状況、エラーコードなどの情報を正確にヒアリングしてくださいました。良い復旧(修理)を行うために、まず正確に状況を把握しようとしていることが、電話口からも、ありありと感じられ、同じ技術者として尊敬できる電話対応でした。

ヒアリングの後、見積額として「34万円」という金額が提示されました。これまでの他社から出た「60万円」「90万円」という額の半分、三分の一です。

なぜ34万円なのかという金額の根拠も明確でした。技術者の方からは、「その状況の場合、RAID 5構成で、ディスク2とディスク4が壊れているように思われる。またファームウエアも破損しているとのことだが、ディスクそのものの損傷は、それほどひどくないとも予想できる。まずはディスク4本全てを見るのではなく、ディスク1と3だけを精査するという方法をとりたい。予想が本当に正しいかどうかは、やはりディスク実物を検証しないと分からない。予想が外れた場合は、再見積となり、金額が上がる可能性もあるが、まずはこの方針で試してみたい」という趣旨の説明がありました。つまり、ディスク4本全部を調べるのではなく、2本を重点的に見るから60万円ではなく34万円という話です。この説明には納得感がありました。ただちにロジテックに破損したRAIDを送付しました。

それから2日後、復旧可能ファイルのリストと見積金額が提示されました。「当初の方針で復旧可能」とのことで見積金額は34万円のまま。ファイルリストを見ても、99%が修復可能ということが分かりました。ディスクを送ってから実質、中1日のスピード回答に、驚きました。

その後、見積金額を上司に伝え、発注の許可を得た後、ロジテックにデータ復旧を正式に依頼しました。それから2日後、業務データは元通りに復旧されて戻ってきました。ロジテックに依頼して、本当に良かったと感じました。

データ修復会社の選び方

ある種の「先輩ユーザー」として、データ修復の会社選びについて、アドバイスがあればお聞かせください。

技術者でない、一般の方が、データ復旧会社の良し悪しを見分けるのは難しいかと思いますが、一つの指標としては「電話対応の段階で、こちらの状況を正確把握しようとする姿勢がある会社は良い会社」と考えて良いと思います。状況の正確把握なしに、正確な見積はありえないからです。

また、「その後の回答(見積提示)に、ヒアリングの内容がふまえられているかどうか」にも注目するのが良いと考えます。今回のロジテックの金額が安かったのは、調査の対象を「4本→2本」に絞るから安くなるという納得感のあるものでした。

データ復旧に要する原価というのは、単純化して言えば「技術者がその復旧にかける所要時間」から算出されます。この場合、優秀な技術者が、原因を正確把握して、その箇所をピンポイントで修復すれば、所要時間も短くなり、従ってデータ復旧費用も安くなると思います。

今回、ロジテックの技術者に、高品質の復旧を、適正な価格でご提供いただけたことにあらためて感謝申し上げます。もし万が一ディスクが破損した場合も、まちがいなくロジテックにデータ復旧を依頼するでしょう。これからもよろしくお願いいたします。

ロジテック技術者より
コメント

今回はどのような障害だったのか
お客様からは、次のとおり、ご申告いただきました。
「Disk2にエラー発生、その後Disk4にも発生。何度か再起動を繰り返しファームウェア破損が出てきて、最後はアクセス不能となった。」
どのような技術対応を行ったか
先ず、RAIDを構成しているHDD4台から、磁気情報(データ)を抽出しました。ご申告の通り2台のHDDが物理損傷していました。その2台と他の2台ではHDDの稼動時間にも差異が認められました。HDD取り外し作業を行っている問いに、接続コネクタが物理損傷しているのを見つけました。ディスク入れ替え後の二次障害を懸念し、内部情報の検証を通じて装着順番が正規であるかどうかを確認をしました。
お客様へのヒアリングを通じて、運用形式はRAID5ではなくRAID10であると確認できていたので、その後はペアリングの見極めに入りました。RAID再構築後のボリュームを通じ、データ実体の抽出に成功しました。
より多くのデータを回収できるよう、他のペアリング検証も実施したところ、元情報欠損によるフォルダ欠損及び容量差異を認めましたので、調査結果のご報告時は、更新情報など精査の上、障害前により近い形のものを報告できました。
今回の修復をふりかえって
お客様にRAID構成やボリューム容量もフォルダ構成をヒアリングした場合でも、「RAIDの設定は、自分でない前任担当者がやっていたので、自分には分からない」という回答が返るケースが多々あります。今回の関東リオン様のケースでは、RAID設定を行ったのは、田原様ではなく、前任担当者でしたが、田原様が運用状況、フォルダ構成を良く把握しておられ、また障害経過も時系列を追って適切にご説明いただけたので、ロジテック側での調査作業量を必要最小限に抑えることができ、その結果、修復料金も低く抑えることができました。

※関東リオン株式会社のホームページ
※ 取材日時 2011年12月
※ 文中の数字、データはいずれも取材時点のものです。

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